売らない親を売る気にさせるには?使わない家や管理できない家が兄弟げんかのもとになる前に

空き家・相続

早川 裕昭

筆者 早川 裕昭

不動産キャリア13年

不動産は一生に一度あるかないかの大きな買い物です。購入も売却も、自分のことのように考え丁寧に親身になりご提案させていただきます。

売らない親を売る気にさせるポイントを解説。使わない家や管理できない家を放置するリスクと兄弟げんかのもとになる理由、家族会議の進め方や具体的な売却・活用ステップまで詳しく説明します。



親の家を相続する予定はあるものの、実際には誰も住まない使わない家になりそうだと感じていませんか。
そのままにしておくと、管理できない家となり、固定資産税や維持費だけでなく、老朽化や近隣トラブルといった現実的な負担が、少しずつ重くのしかかってきます。
さらに、兄弟のうち誰がどこまで動くのか、費用をどう分担するのかといった問題は、気づかないうちに兄弟げんかのもとになりがちです。
この記事では、売らない親を売る気にさせるために、親の気持ちを尊重しながら、子供世代がどのように話し合い、どのような選択肢を検討していけばよいのかを、具体的なステップとともに整理して解説します。
相続予定の子供たちが、今から冷静に準備を進めるためのヒントとして、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

使わない親の家が「兄弟げんかのもと」になる理由

誰も住んでいない親の家であっても、固定資産税や都市計画税といった税負担は毎年発生します。
さらに、草木の剪定や雨漏り修繕などの維持管理費も必要であり、国土交通省の調査では年間の管理費がおおむね数万円から20万円程度に及ぶ事例が多いとされています。
加えて、建物は人が住まない期間が長くなるほど老朽化が進みやすく、屋根や外壁の破損など大掛かりな修繕が必要になるおそれも高まります。
こうした費用や手間が積み重なることで、「使わない家」が家計と心の双方に負担を与えやすくなるのです。

また、空き家を十分に管理せず放置しておくと、雑草の繁茂やごみの不法投棄、害虫や小動物の発生、不審者の侵入など、近隣の生活環境に悪影響が生じるおそれがあります。
このような状態が続くと、自治体から所有者に対して改善を求める助言や指導が行われ、状況によっては「管理不全空家」や「特定空家」に認定される可能性があります。
特定空家等に対して勧告が出されると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置が外れ、税負担が大きく増える仕組みが設けられています。
悪化した場合には、命令や行政代執行による解体など、より重い行政措置に発展する場合もあります。

さらに問題なのは、こうした税金や維持管理の負担を、相続予定の子供同士でどのように分担するかという点です。一人が頻繁に現地へ通って草刈りや換気を担い、別の兄弟がほとんど手伝わない状況が続くと、不公平感が募りやすくなります。
固定資産税を誰がどの割合で支払うのか、将来の修繕や解体費用をどう備えるのかが曖昧なまま時間だけが過ぎると、「自分ばかり損をしている」という感情が強まりがちです。
また、売却に前向きな人と、思い出を理由に売却に反対する人が対立すると、話し合いそのものが感情的になり、親子関係や兄弟関係に深い溝を生むこともあります。
このように、使わない親の家は、費用負担と気持ちの負担の両面から、放置するほど兄弟げんかの火種になりやすいのです。

空き家を放置した場合の負担 近隣や行政との関係 兄弟間で生じやすい問題
固定資産税などの継続負担 景観悪化による苦情リスク 税金負担が一人に偏る不満
草刈りや修繕など管理費用 管理不全空家等の指導対象 管理の手間を巡る感情的対立
老朽化進行による大規模修繕 特定空家等の勧告や税負担増 売却可否を巡る価値観の衝突

売らない親の本音を理解しつつ「使わない家」の現実を共有する

まずは、親が実家を売りたがらない理由を、きちんと整理して受け止めることが大切です。
長年暮らしてきた家には、子育ての思い出や節目の出来事など、家族の歴史が詰まっています。
近所付き合いや地域のつながりも、高齢になるほど心の支えになりやすいと言われています。
さらに、先祖代々受け継いできた土地という意識が強い場合、子供世代が想像する以上に「手放すことへの抵抗感」が大きくなりやすいです。

一方で、空き家を適切に管理しなければならないことは、国土交通省の指針でも繰り返し示されています。
庭木の剪定や建物外周の点検、雨漏りや外壁のひび割れの確認、ごみや郵便物の整理など、実際の作業は多岐にわたります。
高齢の親だけでは、これらの管理を継続することが難しくなりやすいため、現地まで通う時間や費用を含めて、子供世代がどこまで負担できるかを具体的に話し合う必要があります。
また、市区町村の空き家対策担当課からの連絡に、誰が責任を持って対応するかも決めておくと安心です。

よく耳にする「将来は誰かが住むかもしれない」という期待と、全国的な人口減少や住宅余りの傾向には、大きなギャップが生じています。
総務省統計局が実施する住宅・土地統計調査では、全国の空き家数や空き家率が長期的に高い水準で推移していることが示されています。
人口が減少するなかで住宅の数は一定以上存在しているため、「いつか子供や孫が使うだろう」と考えて空き家を残しておいても、実際には活用されないまま老朽化が進む可能性があります。
そのため、親の気持ちを尊重しながらも、統計データに基づく現実を家族で共有し、今後の選択肢を一緒に考える姿勢が大切です。

親が家を手放したくない理由 子供世代が担う管理負担 人口減少・住宅余りの現実
家族の思い出が詰まった実家 定期的な通風・清掃・草木の手入れ 空き家率が高水準で推移
近所付き合い・地域とのつながり 建物劣化や雨漏りの点検と修繕手配 人口減少で住み手が見つかりにくい状況
先祖代々の土地を守りたい思い 自治体からの通知や相談への窓口役 活用されないまま老朽化が進むリスク

兄弟げんかを防ぐための話し合い手順と役割分担の決め方

まずは、親と相続予定の子供全員が集まりやすい日程と場所を決め、落ち着いて話せる時間を確保することが大切です。
そのうえで、「家をどうするか」をいきなり結論づけようとせず、「将来の心配ごとを共有したい」という目的を最初に確認すると、対立が生まれにくくなります。
また、「誰のせいで空き家になった」など、責任をなじる表現や、感情的な決めつけの言い方は避け、事実と希望を分けて話す意識が重要です。
一度で結論を出そうとせず、複数回に分けて丁寧に話し合うと、親の気持ちにも寄り添いやすくなります。

話し合いを進める際には、「親が決めるべきこと」と「相続予定の子供たちが決めるべきこと」を整理しておくと混乱が少なくなります。
例えば、生前に家を売るかどうか、誰に相続させるかといった根本的な方針は、原則として所有者である親の意思を尊重することが基本です。
一方で、空き家の掃除や点検、固定資産税の支払方法など、日常的な管理や負担の分け方については、子供同士で話し合い、現実的な体制を決めておく必要があります。
このように役割の線引きを共有しておくと、「親の考え」と「子供の負担」のどちらも置き去りにならずに話を進めやすくなります。

合意した内容は、口約束のままにせず、簡単でも文書として残しておくことが望ましいです。
たとえば、家の管理担当者、費用負担の割合、将来売却を検討する条件や時期の目安などを、日付とともにメモにして共有しておくと、後から「言った・言わない」の争いを防ぎやすくなります。
あわせて、親が将来の相続や家の扱いについて意思を明確にしておきたい場合には、公正証書遺言などの制度を活用することも検討できます。
管理の取り決めメモと遺言を組み合わせることで、親の意思と子供世代の合意を見える形にでき、兄弟げんかの火種を小さくできます。

決めておきたい項目 主な決定主体 文書化のポイント
家を売るか残すかの方針 親の意思を尊重 遺言や意思メモに明記
管理担当者と作業内容 兄弟全員で合意 掃除頻度や連絡方法を記載
費用負担と将来の売却条件 兄弟全員で相談 負担割合と見直し時期を明示

親を無理なく「売る気」にさせる伝え方と具体的な検討ステップ

まず大切なのは、家を手放すことを「親不孝」ではなく、親と子の双方が安心して暮らすための選択肢として捉え直すことです。
総務省統計局の住宅・土地統計調査では、全国の空き家数が年々増え、令和5年調査の速報では空き家率が13.8%に達しており、使わない家を抱え続ける負担が社会全体の課題となっていることが示されています。
このような状況を踏まえ、親世代の老後資金や介護費用の備え、子世代の仕事や生活拠点の変化など、家族全体の将来像を一緒に確認しながら話すことで、「処分」ではなく「安心のための整理」という前向きな発想につなげやすくなります。
親の思い出や気持ちを否定せず、「家を大切にする別の形」として売却や活用を提案する姿勢が重要です。

次に、親の家について取り得る現実的な選択肢を、感情論とは切り離して整理しておくことが役に立ちます。
一般的には、売却して現金化する、賃貸として貸し出す、老朽化が進んでいれば解体して更地とする、相続そのものを辞退するなど、複数の道があります。
国土交通省は空き家対策の特設サイトで、空き家の適切な管理や活用、解体・除却の重要性を示し、放置を避けるため早めの検討を促しています。
それぞれの選択肢において、固定資産税や管理費、将来の修繕費などの負担と、売却代金や賃料収入などのメリットを一覧にして家族で共有すると、親も冷静に判断しやすくなります。

さらに、親の体力や判断力が十分にあるうちに、子供世代が情報収集や専門家への相談を先回りして進めておくことが欠かせません。
国土交通省や総務省統計局の公開資料からは、人口減少や高齢化の進行により、今後も空き家の増加が見込まれていることが示されており、対策を先送りするほど処分や管理が難しくなるおそれがあります。
また、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、管理不全な空き家に対しては、固定資産税の優遇措置が外れる場合があるなど、法制度面の変化にも注意が必要です。
親が元気なうちに、相続予定の子供たちが制度や支援策を理解し、「どの専門家に、どのような相談をするか」まで下調べしておくことで、親も安心して話し合いに応じやすくなります。

検討ステップ 親への伝え方の工夫 子供世代の準備内容
家を手放す目的整理 老後の安心確保の話題 老後資金や介護費用試算
選択肢の比較検討 売却以外も含めた説明 税負担や維持費の一覧表
専門家相談の段取り 親の不安点の事前整理 相談先と必要書類の確認


まとめ

使わない家や管理できない家を放置すると、固定資産税や維持費、老朽化リスクが増え、兄弟げんかのもとになりがちです。
一方で、親には思い出やご近所とのつながりなど、売らない本音があります。
大切なのは、親の気持ちを尊重しつつ、子供世代の負担や将来リスクを具体的に共有し、家族で早めに話し合うことです。
当社では、親を無理に急がせず、売る・貸す・解体するなどの選択肢を一緒に整理し、家族が納得できる方向性づくりをお手伝いします。
「うちの場合はどう進めたらいいのか」と感じたら、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

”空き家・相続”おすすめ記事

  • 空家管理で備える台風による被害!線状降水帯や大雨による被害と道路冠水リスクを解説の画像

    空家管理で備える台風による被害!線状降水帯や大雨による被害と道路冠水リスクを解説

    空き家・相続

  • おすすめ老人ホームで老後の不安を軽減!ブリスマイホームが紹介サポートの画像

    おすすめ老人ホームで老後の不安を軽減!ブリスマイホームが紹介サポート

    空き家・相続

  • 管理不全空き家で税負担増加の前に確認を 堺市の固定資産税と空き家管理の基礎知識の画像

    管理不全空き家で税負担増加の前に確認を 堺市の固定資産税と空き家管理の基礎知識

    空き家・相続

  • 財産分与で自宅に住み続けたい人必見!損をしない適正評価査定のポイントを解説の画像

    財産分与で自宅に住み続けたい人必見!損をしない適正評価査定のポイントを解説

    空き家・相続

  • 堺市のもう使わない空き家どうする?買取で子供の負担を減らし認知になる前に備えるの画像

    堺市のもう使わない空き家どうする?買取で子供の負担を減らし認知になる前に備える

    空き家・相続

  • 相続前に売却でトラブル防止!空き家管理と放火リスクも解説の画像

    相続前に売却でトラブル防止!空き家管理と放火リスクも解説

    空き家・相続

もっと見る